7月末にスタートしてから約1年の不動産M&Aが成約しました。
この案件は過去最高難度でしたが、何が難しいかというと売り手である兄弟2名が裁判をするほど仲が悪く、4社の株式をこの兄弟が50%ずつ所有しており、重要な決議ができない状態で到底M&Aができる状態ではありませんでした。
しかも売り手の売却希望金額が法外(私の企業評価額の2倍)に高いことと兄弟間で売却金額をきれいに折半したいという難しい要求もありました。
兄弟の役員退職金について、税務上の上限金額は、兄は1億円ほどで、弟は1,000万円ほど(会社への貸付金は、兄は1,000万円ほど、弟は6,000万円ほど)だったので、売却金額をきれいに折半というのは、買い手の協力なしには無理でした。
弟さんは、私の提案をほとんど聞いてくれましたが、兄さんは切れキャラで、いつも打ち合わせに顧問弁護士が同席し、私の提案にいちいち反論してくるので、私が考えるような動きができず、当初はこの案件の受託を断ろうと思っていました。
今回は、不動産仲介会社と一緒にM&Aを進めましたが、この会社の会長から「小柴さんでないとこの案件は無理」と言われたので、その期待に応えるべく共同受託しました。不動産仲介会社が買い手探しと一般的な不動産売買で行う業務をメインで行い、私がそれ以外のM&A業務を行いました。
今回は、売却希望金額が法外に高かったので、世間の相場観を分かっていただくために入札にしました。
メインの飲食ビルが築50年ほどの違法建築だったこと、M&Aであること、売却希望金額が高いこと等から、買い手候補はかなり少なくなると予想されたので、当初買い手候補として50社ほどに入札の案内をしました。
結局、どうしてもその地域の飲食ビルが欲しいという買い手が見つかり、売り手にとっては、ラッキーなM&Aとなりました。