平成30年5月末に大阪のハルカス近くにある不動産物件を所有する会社の不動産M&Aが成約しました。

この案件は、建物が老朽化(築50年)しており、借金をして建て替えすることもできない状態でしたので、不動産のプロが所有して今後の建て替え等の対策を考えないといけない状態でした。

5年前に売り手(兄と妹が約50%ずつ所有)から売却の相談を受けた際、企業評価をして、M&Aスタートの準備をしていましたが、その後に相続が発生(母の死亡)したため一旦中断しました。

この時の相続税申告書は私が作成しましたが、日本のM&Aプレイヤーで相続税の申告書が作れる人はあまりいないと思います。

売り手は、母の株式を相続した亡き弟の嫁との間で、相続財産や株式買い取り等でもめたことで、M&A中断が長引きましたが、それがようやく解決し、兄の病気が悪化したことで、半年前に再スタートしました。

因みに売り手と亡き弟の嫁とは、弁護士を入れて調停の場で交渉していましたが、1年以上経っても全く解決できず話が平行線だったので、最後は、私の提案したお互いの手取額を最大にする解決案(税金を考慮)で解決しました。

大阪の不動産は高騰しており、不動産M&Aも予想外の高値が付くことがあるので、今回も入札にさせていただきましたが、5年前の企業評価時に比べて1億円ほど高い金額で買い手が見つかりました。

入札開始後に社長(兄)の娘さんが、「叔母(社長の妹)から株式を買い取りたい」と言い出し、銀行に融資の相談に行きましたが、この娘さんが買い取れる金額ではなく、当然、銀行から融資を断られました。

社長の妹は、古い物件を素人の姪が所有するといざと言う時にテナントに迷惑を掛けることと外部に売却する場合に比べて、5,000万円ほど安い金額で姪に売却するのは合理的ではないという判断で、姪への売却にははじめから反対でした。

最後の最後で、社長の奥様が「M&Aに反対!」と言いだし、入院中の社長の実印を渡さない!と言って関係者を困らせましたが、最後は娘さんが説得して無事終了しました。

相場より3割ほど高い金額で売却できたのですが、それでも社長の奥様は、「安すぎる!」と文句を言っていたので、お金に強欲な人は死ぬまで治らない!と感じたちょっと疲れた案件でした。